保育園運営

基本理念を柱とする保育園・こども園の目標の体系づくりについて

保育園、こども園の園長先生、主任先生、リーダーなど、職員育成を担当されている先生向けに、
基本理念、そして保育理念、保育目標・・・園の目標の体系整理の必要性と整理について、前回の内容に補足を加えたいと思います。

前回までの記事を読みたい方はこちらをご覧ください。

保育園・こども園の基本理念について保育園・こども園の基本理念 「組織には事業の理念というものが必要で、保育園・こども園においても基本理念を構築してこれを基盤に組織づくり...
保育園・こども園の基本理念について2基本理念とは 野球チームを例にすると 研修で理念のお話をする際に、私がかつて所属していた草野球チームの例をお話することがあります。 ...

基本理念と保育理念・・・基本理念とは一体?

保育園・こども園で基本理念の再構築をお手伝いしていて、皆さんが必ずといっていいほど出くわす最初の壁がこの課題です。

基本理念について例として2つの野球チームの主張を見ていきましょう。

野球チーム ステテコハイターズの主張

「私たちステテコハイターズは、とにかく白球を見つめ追い続けます。私たちの本分は野球である筈です。であれば、まずは目の前の白球を追い続けることを第一にしています。しかし、皆さんに負担はかけません。苦手な練習は特に必要ありませんし、練習中の休憩時間も十分確保しています。もちろんハードな練習もありません。口うるさい先輩もおらず、みんな和気あいあいです。

野球チーム 猿股ジャイアンツの主張

「我々猿股ジャイアンツは、野球を通してチームプレーのすばらしさ、勇気と努力の尊さ、不可能を可能にしていくことの意義を我々のプレーに触れるすべての人に伝え、世界に感動の渦を起こします。

私たちのプレーを通して、明日も頑張ろう!私だって頑張ってみよう!課題を乗り越えよう!すべての人の生きる力を育みます。そして、ここに集う我々自身、このチームの一員であることを誇りに、このかけがえのない人生を謳歌していきます。

2つの野球チームの主張は保育園・こども園にも当てはまる

ステテコハイターズは、近年、野球チームに所属するメンバーが減りつつある世情を鑑み、特に選手には極力無理をさせず、負担のないチーム運営をアピールしています。

最近の若い人は、苦しいことはしたがらない・・・。
まずはハードルを下げ、待遇を可能な限り良くしています。

 

それに対して、猿股ジャイアンツは、自分たちのチームの存在意義を明確にしています。

ジャイアンツは、自分たちのプレーを通して、勇気と生きる希望を与え続けるチームですから、厳しい練習も厭いません。常に洗練されたプロのプレーを提供することが、勇気と希望を提供することになるからです。当然ながらファンへのサービスも惜しみません。彼らの仕事の対象は、この世界すべての人。

来てくれたファンを大切に、そして地域社会へのボランティア活動や少年野球教室を通しての野球指導なども当然と考えることができるのです。

それに対して、ステテコハイターズは、我々は野球チームなので、野球をしていればそれで社会への貢献になっているというスタンスです。ですから目の前の白球を追いかけることを最善と捉え、目の前の白球さえ追いかけていればいいんだと先輩にも言われます。

そういわれて入部したものの、入部後厳しい練習を求められると、事前アナウンスとは違うと感じます。そしてそれが不満に至るのです。ましてやファンへのサービス?まさか?単純に野球が好きで入部して、厳しい練習はなく、休憩も多いし、とにかく白球を追いかけていれば良いと言われているのですから、「まさかファンへのサービスまで・・・」という気持ちになるのです。ですから彼らにファンサービス自体が負担に感じますし、事前アナウンスとは違うことを求められることに対して、チームオーナーへの不信感を募らせることにもなります。

このことは、組織である保育園・こども園でも同じことが言えるのではないかと思っています。

誰もが意味もなく厳しい仕事をしたいなどと思う筈はないでしょう。

けれど・・・ただ目的地のない旅に時間を費やし、自分たちの成長を実感するたことができないところに敢えて身を置こうとするか・・・。確かに楽でお給料がもらえるに越したことはないかもしれません。

しかし・・・本当にそうなのでしょうか。

ステテコハイターズと、猿股ジャイアンツとでは、野球の取り組み方が全く変わります。何より社会における存在意義、役割が大きく違いますし、メンバーの指揮、プレーの質、覇気、やりがいすべてに大きな違いがある筈です。

人は心のどこかに「成長したい」「自分の人生を意味のあるものにしたい」。その機会を欲しているものです。

保育園・こども園で「基本理念」を明らかにする意義

子どもが好きで保育者になったけど、保護者対応まで・・・ということで苦しむ保育者が多くいると聞きますが、園側がこの視点を提供していけていないことも理由の一つかもしれないと私は分析しています。

私たちのチームは、プレーの先に何を見ているか・・・。そして、メンバーに加わることで得られる価値とはどのようなものか。チームの社会における存在意義と、その一員として存在する意味は何かを提供してくれるもの。それが基本理念そのものなのです。

組織において「基本理念」を明らかにする意義はここにあります。

私たちの組織は、誰を利用者だと捉え、どのように役に立つことにより存在するのか。

猿股ジャイアンツの場合、

「利用者」は、この世界に住むすべての人です。

そして、自分たちがプレーをすることで、明日への希望、生きる勇気、努力のすばらしさを伝え、生きる力を与えることを目的に存在し、チームメンバーに対しても、チームで成し遂げることのすばらしさとメンバーの一員としての誇りを感じさせ、人生を謳歌していきたい。それが我々の存在する意味だと、そう宣言しているのです。

だからこそ、普段の生活においても

・試合の場だけではなく、私生活においても自らを律し、多くの人の希望の存在であるようなふるまいを

行う。

・常に礼儀を重んじ、多くの人に好ましい影響力を与える。

・服装は常に清潔を旨とする。

・誰に対しても挨拶を欠かさず、地域社会との連携を図る。

・ファン一人ひとりを大切にする。

・野球を志す人に、自らの技術を惜しみなく提供する・・・

が「行動の指針」になります。

その上で、

「野球」というところにスポットを充てて捉えると、

・一球一球に魂を込め、常に真剣勝負で、すばらしいプレーをすること。

・チームワークという思想で、それぞれの良い点を引き出し、足らずを補い合う。

・自身の能力を高め、チームの勝利に貢献する。

これが「野球行動指針」のようなものでしょうか。

そこから具体的な「行動」として、「練習計画」を策定して、

・日々の練習をしっかり行う。

・筋力増強のトレーニングや走り込みを行う。

・普段からチームメンバーとのコミュニケーション・連携を図る。

・自身の強みを伸ばす。

・努力を厭わない。

・常に全力プレーに徹する・・・

ということを自身に課していくのです。

 

保育理念というものの定義―「保育理念」という言葉が誤解を与えてしまっている?

 

けれど、保育園・こども園において基本理念策定の勉強会を実施し、参画メンバーに宿題として園の基本理念を作成してきてもらうのですが、多くの場合、

「私たちは子どもたちひとりひとりの最善の利益を保証します」

「子どもたち一人ひとりに寄り添い、生きる力、豊かな心を育みます」

「一人ひとりの発達を理解し、心に寄り添います」

という視点になってしまいます。

これは、先に述べた「行動指針」「野球行動指針」のような内容です。

確かにその定義はその定義で必要なのですが、それが「すべて」だと捉えてしまうことが問題なのです。

 

何故、ここに陥ってしまうのか・・・それは「保育理念」という「基本理念と同義と捉えてしまう言葉」があるからではないかと思っています。

 

コンビニを展開しているローソンが新たに保育園を運営するということであれば基本理念のほかに「保育理念」は明示されることが良いとも言えますが、保育園・こども園のみを運営している法人においては、敢えて「保育理念」という定義は無くても良いと考えます。

基本理念・保育目標・計画の関係性

まず、基本理念を構築したら、

一旦横において、目標の体系づくりは考えたほうがよさそうです。

そうすると自ずと「行動指針」「保育において大切にしたいポイント」が見えてくるはずです。

 

「保育目標」「計画」

ここまでを検討してから、

では、私たちの園ではどんな子どもを育んでいきたいのか。

卒園する頃に、どんな子どもになっていてほしいのか。

それが目指す子ども像「保育目標」

ここまでが明らかになってくると、あとはそれを年間指導計画→月案→週案へと落とし込んでいく。

こういう流れなのだと思います。

 

そうするとすべてのものを体系的に捉えることができます。

非常にわかりやすい「道」ができるのです。

 

「基本理念なんて・・・」「同じ方向に歩む必要はわかるけど・・・」「保育園って保育をするところ・・・」

様々な??があるかもしれませんが、やはり上記の目標の体系を明示することで、意識の高い職員採用、魅力ある組織づくり、チームメンバーの視点、保育の質的向上へと繋いでいくことができるのです。

特に保育園・こども園は「人」が資本の組織です。

そして、「私たちは保育者。目の前の子どもだけしっかり見ていればいい」に陥りがちです。

これらの体系をしっかりと定め、メンバーを巻き込んだ組織づくりが保育の質的向上、職員のやりがいの創出につながる第一歩なのです。

 

保育施設用の自己評価を行うための
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