キャリアアップ研修に「マネジメント分野」が組み込まれたことで、保育業界でもリーダー育成の必要性が注目されています。
しかし現場では、「マネジメントよりも保育の研修の方が役に立つ」といった声も根強く、実際の導入に踏み切れずにいる園長先生も多いのではないでしょうか。
本記事では、全国500以上の保育施設でマネジメント研修を行ってきた講師の立場から、なぜ“今”園内でリーダーを育てることが求められているのか、
そしてその要となるマネジメント研修の効果について、6つの視点からわかりやすく解説します。
マネジメント研修で、リーダーが園長・主任の“共に進む仲間”に
園の未来をリーダーと一緒に考える組織へ
リーダー育成が離職率の改善と組織の安定を支える
リーダーの不安に寄り添い、“自信”を育てる研修
職員育成のコツを学び、指導に自信がつく
“働く意味”を見つめ直し、原点に立ち返るきっかけに
まとめ|園の未来は“リーダー育成”からはじまる
マネジメント研修で、リーダーが園長・主任の“共に進む仲間”に
保育園・こども園のリーダーは、「園長・主任」と「現場のメンバー」のちょうど中間に立つ存在です。
組織図にするとわかるように、いわば**“神経系”や“血管”のように、園内の情報と想いをつなぐ役割**を担っています。
この立ち位置で重要なのは、「リーダーがどちら側の視点に立って業務を行っているか」ということです。
もしリーダーがメンバー側の代表のようになってしまうと、園の意思決定に対して「園長・主任 vs リーダー+メンバー」という対立構造が生まれてしまいます。
これでは、組織として一つの方向に進むことができません。
しかし、園内でマネジメント研修を通して、リーダーが園長や主任の考えや園のビジョンをしっかり理解できれば、自分の立場と役割を再認識し、
“共に進む仲間”として、メンバーを納得・共鳴へと導くことができます。
その結果、園長や主任は「職員を動かす」ための精神的な負担から解放され、“園の未来を描く・方向性を示す”という本来の役割に集中できるようになります。
リーダーが“味方”になることは、園全体が同じビジョンに向かって進むための、最初の一歩なのです。
園の未来をリーダーと一緒に考える組織へ
園内でのマネジメント研修は、単なる知識のインプットにとどまりません。
リーダーと共に、園の未来をどう描き、どう実現していくのかを考える――そんな対話と共有の場になります。
研修の中では、
・園のビジョン
・職員育成の方針
・採用したい人物像
といった、これまで園長や主任だけが向き合ってきたテーマについても取り上げます。
リーダー自身がそれらを理解し、自分の言葉で語れるようになることで、少しずつ日々の実務の中でも「自分ごと」として園の運営や理念に目を向ける意識が芽
生えていきます。
単なる“現場のまとめ役”にとどまらず、園の未来を一緒に考える“パートナー”として、リーダーの在り方が変化していくのです。
こうした関わりを通じて、「園長が決め、現場が動く」トップダウン型の体制から、「リーダーと共に考え、共に創っていく」協創型の組織へと、少しずつ歩み
を進めていくことができます。
園の“これから”を共に描くことができるリーダーは、園にとってかけがえのない“人財”であり、未来を育てる力そのものとも言えるでしょう。
リーダー育成が離職率の改善と組織の安定を支える
リーダーが育つことで、まず現場に「安心」が生まれます。
特に若手職員にとっては、頼れる先輩がいること、相談できる存在がいること、尊敬できる人が身近にいることが、日々の大きな支えになります。
こうした安心感が現場に広がることで、職員はただ作業をこなすのではなく、園の目指す姿や自分の役割を意識しながら働けるようになります。
その結果、現場は目的を共有し、役割を果たすチームへと変わっていき、職場全体の安定感が生まれていきます。
そしてその安定こそが、「この園で働き続けたい」「ここにいると成長できる」と思える環境をつくり、離職を防ぐ最も大きな要因になるのです。
リーダーの不安に寄り添い、“自信”を育てる研修
実際に現場でマネジメント研修を行っていると、多くのリーダーからこんな声を耳にします。
リーダーという役割は、多くの人にとってプレッシャーを伴うものです。
特に、これまで保育のスキルを一生懸命に積み重ねてきた保育者にとっては、「まとめ役」や「指導する立場」を任されることに、大きな戸惑いを感じることも少なくありません。
なかには、「経験年数が長いから」という理由だけでリーダーに抜擢され、何をどうすればよいのかわからないまま、不安を抱えつつ日々を過ごしている方もいます。
園内でのマネジメント研修では、そうした不安に寄り添いながら、**その園におけるリーダー像や、求められる行動の軸を言語化し、「何を頑張ればいいのか」「どう動けばいい
のか」**を明確にしていきます。

何をすればいいのかわからない

園長や主任から何を期待されているのかがつかめない

うまくまとめられる自信がない
そのプロセスを通じて、
「不安」がやがては「自信」に変わり、
行動に迷わなくなり、
自分の役割を理解して、自ら動けるようになる。
――そんな変化が、少しずつリーダーの中に芽生えていきます。
これこそが、マネジメント研修を通して生まれる、リーダー自身の最初の変化です。
マネジメント研修参加者アンケート結果・感想まとめ<リンクをはる。>
職員育成のコツを学び、指導に自信がつく
リーダーに求められるのは、園の方針を伝え、メンバーを動機づけ、共に育っていく力です。
しかし、指導経験が少ないリーダーほど、
注意すると嫌われそうで、ためらってしまって……
伝えたつもりでも、うまく伝わらないんです
自分の接し方が間違っているのではないか…
この伝え方で合ってるのか、いつも不安になります
といった不安や葛藤を多く抱えています。
園内で行うマネジメント研修では、こうした悩みに対して、「どのように関わるか」という姿勢や意図、関係性の築き方をじっくりと見つめ直します。
「後輩を育てるとは、相手の強みを見つけ、それをどう伸ばすかを一緒に考えること」
そんなふうに、“育てる”という行為そのものへの捉え方が変わっていくのです。
また、職員一人ひとりの育成方針について園長や主任と共有しておくことで、リーダーが指導に悩んだときも、一人で抱え込まず、相談しながら進められる関係性が生まれます。
「孤立せずに育成に関われる」――
それは、リーダーにとっても大きな支えであり、育てることに前向きに取り組める土台になるのです。
“働く意味”を見つめ直し、原点に立ち返るきっかけに
日々の業務に追われていると、仕事が「作業の積み重ね」になってしまい、
気づけば職場が「給料を得るための場所」として感じられてしまうこともあります。
園内で行うマネジメント研修では、
自分はなぜ保育という仕事を選んだのか
誰の役に立ちたいと思っているのか
園の未来にどのように関わっていきたいのか
といった問いを通じて、保育者としての原点を見つめ直す時間になります。
参加者同士の対話を通して、「誰かの人生を支える仕事をしているんだ」という実感や、
“働く意味”や“誇り”をあらためて認識することができるのです。
そうした気づきは、やがて保育へのエネルギーやモチベーションとなって現れ、
リーダー自身の姿勢が変わり、周囲にも良い影響を与える存在へと成長していきます。
まとめ|園の未来は“リーダー育成”からはじまる
園内でのマネジメント研修は、「保育の質を高める」ための取り組みであると同時に、
人が自分らしく働くことを支える場でもあります。
リーダーが変わると、保育園・こども園は大きく変わります。
だからこそ、“リーダーを育てること”こそが、園の未来をつくる第一歩になるのです。
育成に悩むことはあっても、一人で抱える必要はありません。
園長や主任がリーダーと向き合い、対話を重ねることで、組織は確実に変わっていきます。
マネジメント研修という場を通じて、次世代を担う人材の力を引き出していくこと。
それが、これからの保育施設に求められる「チームでつくる園の未来」につながっていくはずです。
あなたの園でも、「リーダー育成」を始めてみませんか?

株式会社SKSは保育園・幼稚園・認定こども園の
研修やコンサルティングを行っています。
園長先生の組織に関するお悩み解決のサポートをします。