こんにちはSKSの井口です。
私は保育園やこども園などの保育施設でマネジメント研修などの研修の講師をしています。
今回は保育施設で園長先生向けにマネジメントを学ぶことについて書きたいと思います。

保育園、こども園の園長の役割

これからの保育園というキーワードで検索してみると、様々なところが様々な「予想」を提示されています。現状を分析し、これからの未来を見据えることは非常に重要です。

園長独自の仕事は、やはり、未来を見据え「今」決断することなのだと思います。

保育園、こども園を取り巻く現状

園の外に目をやると、保育士のなり手不足の問題、来るべき少子化の問題等々、先を見通せない事柄が山積しているように感じます。

また、内に目をやると、保護者ニーズの変化や多様な要望への対処、職員の質的低下?リーダーが育たない、園の個性、大切にしてきた保育をしっかりと浸透させるにはどうしたらよいのか、これからもより愛される園づくりのために何かを為していかないといけない・・・漠然とした不安に苛まれるかもしれません。何か手を打たないといけないのはわかっている。けれど・・・。何から手を付ければ良いのか。

手をつけたところで、上手くいく保証は?誰もそんなこと保証してくれない。

女性の多い職場で、何かを始めたところで、すぐに人が辞めてしまうとから、何かをスタートしても、職員育成しても、果たして意味があるのか。

とはいえ、「どうにかしないといけないのではないか」「どうにかしないといけないのはわかっている」

そう逡巡させておられる園長先生方も多いのではないかと思います。

少子高齢化やこどもの出生数、出生率の減少が言われてますが、では、これから保育ニーズはどのように推移していくのか・・・保育施設を取り巻く環境変化はどう推移していくのか・・・頭を巡らせたところで実のところよくわからない。ただわかっていること、それは、確実に子どもは減っていくということだけ。

では、自身の園の未来はどうなるのか?
ここ数年、保育者のなり手不足の問題があって、どの園も採用には苦慮している状況が続いています。

ただ、何となく一時ほどの苦境は脱しておられるようにも感じます。しかし・・・喉元を過ぎればそれでよいのか・・・。

同じように、保育園・こども園に通う子どもさせ多くいて、定員さえ満たせれば「それで」良いのか。

たとえ子どもが減ったとしても、社会インフラとしての保育園・こども園は行政が絶対になんとかしてくれる筈、もしくは、なんとかすべき問題・・・そう捉えて良いのか。先行きを見通せない不安な現状だからこそ、見つめなおす機会なのではないかと思います。

「どうありたいのか」という視点で捉える

ただ、園長先生方とのお話で、時に、将来の不透明さ、不確実さをあまりに憂慮されるがあまり、問題を先送りされたり、見通しが立たないからという理由で、何らの施策を講じられないということに出くわすことがあります。

そんな時感じることは、「未来はどうなるのか?」そのために私たちはどうしていけば良いかという受け身の視点で捉えるよりも、「自身の園を今後どうしたいのか」「どうありたいのか」という視点で捉え、行動を起こしていくことの方がずっと健全なように感じています。

リーダーが育たないのであれば、育てる。職員の質が低いとお感じであれば、高める。そのための方策を図っていくことが重要です。

保育園・こども園における問題の多くはマネジメント不在が原因

ここまでキャリアパス制度設計のお話や、基本理念構築の必要性などお話してきましたが、キャリアパス制度は捉え方や活用の仕方次第でば非常に良い制度ですし、組織づくりや職員育成、資質向上の観点からも好ましいと感じます。しかしながら多くの保育園・こども園では、その本質を見過ごしてしまっているように感じます。また、処遇改善手当受給の要件である、キャリアアップ研修についても、ただ処遇改善Ⅱを受け取るための消化試合のように処理されておられるのが現状のように感じます。

私は、この6月にキャリアアップ研修のマネジメント分野を実施しますが、現在の保育園・こども園における問題の多くはマネジメント不在によるところが大きいと思っています。

キャリアパスという、一つの機会が苦も無く提供されているにも関わらず、それを単に面倒な代物として処理し、そして消化し、スルーする。そして「あれば一体何だったのか・・・」というように見るのは、非常に残念です。何度も申しますが、まずはその正しい理解をしてから、どう処理していけば良いのかを、自園のこれからのあるべき姿と重ね合わせて検証することが重要であると思います。

園長先生方が正しくマネジメントを理解することが重要

リーダーが育たないのは、リーダーに責任と権限をしっかりと与えることができていないからかもしれません。リーダーさんを集めた集合型リーダー研修会で質問に来られる職員の多くは、「今日の話はわかりましたが、私たちの園では、そもそも私たち自身に役割なんてないんですが・・・」というものです。

職員の資質が低い、モチベ―ションが低いのは、「ここで仕事をする意味」が見いだせないからかもしれません。ここしばらく様々な書籍を読んでいても、私たちが就職した時代とは違い、働く「意味」や自身のキャリアプランを問うものが多くなってるなと感じます。

コミュニケーションが円滑でないのは、園の方向性が職員に浸透していないことも一因かもしれないのです。そもそも何について意思疎通を図っていけば良いのかさえ見えない中では、コミュニケーションなど図りようもないかもしれません。

その意味でも、まずは園長先生方が正しくマネジメントを理解することが肝要だと感じています。

見つめるべき事柄は、自園を「どう作るのか」そして、今いる職員をいかに育て、どんな時代が来てもやっていける筋力をいかに身に付けるのか・・・。

視点の捉え方を変えるだけで、見えてくるものがある筈です。当然筋肉は一朝一夕につくものではありませんから、トレーニングが必要です。しかし、正しい方向でトレーニングさえしていけば、目に見えて成果を感じる日がやってきます。

少し筋肉がついてくると、鍛えるべき方向性と、鍛えることの楽しさ、自信が実感できると思っています。

次回以降、少しずつですが、園づくりとマネジメントについてお話していくようにしたいと思います。

株式会社SKSは人材育成コンサルティングと能力開発研修で
保育施設の課題解決をサポートします。