今回からは目標管理(技法)について述べて行こうと思っています。

第一回目は「数値指標について」です。

よく「目標を数値化せよ」と言うのですが、

「保育園・こども園は、一般の会社ではなくて営業数字などもなく、数字にするものがほとんど見当たらない」

といったお話をよくお伺いします。

そのたびに幾度も頭の中で自身に問いかけるのですが、やはり「目標の数値化」や「数値としての指標」は必要だと思います。

今回は「数値指標」の必要性について述べたいと思います。

保育園・こども園で研修会や勉強会をする理由

「保育の質的向上を図りたい」

「職員の資質を高めたい」

「やりがいを感じてほしい」

「成長しているという実感を与えたい」

園長先生方は、きっとそんな想いで

・外部研修に参加させる。

・園内研修を実施する。

・園内勉強会を立ち上げて活動する・・・等、様々な取り組みをされていると思います。

けれど・・・その取り組みの中で、上記のような実感を職員に抱かせ、保育の質的な向上が図れているか?と問われると・・・

???なのではないでしょうか。

現状を把握することが大切

「果たして」保育や職員の質的な向上は図れているのか。

図れているとして、「実際どれだけ」保育や職員の質的な向上が図れたのか・・・

そして、

目標として思い描く姿に到達するには、

「あとどれくらい」なのか。到達するには、「どこに」現状の課題があって「何を」改善していけば良いの

か・・・

実際に把握することは難しいですね。

しかし・・・ここが重要ですよね。

数値とは何か?

「保護者との信頼関係をより強固なものとしたい」「利用者の満足度を高めたい」といって様々なことに取り組んだところで、

その信頼度や満足度を「測定」する「ものさし」がなければ、何も見えないのです。

そのための「ものさし」となるもの。それが「数値」です。

数字というものは、計測のルールさえきっちりと定めて、そのルールに則れば、公正かつ公平な測定指標になります。

コロナウイルス感染者数は、どう推移しているのか?

病床のひっ迫率はどう変化してきているのか。

緊急事態宣言の解除前後で、感染者数はどのような変化があったのかを数値として把握することにより、施策とその効果を推し量ることもできます。

交通事故数の減少には、実は違反の罰則を強化することが、検問やその他の諸策よりも効果があるという分析があるのだそうですが、それもすべて取り組みと数字との因果関係から見えてくることです。

子どもたちの運動能力は年々どのように変化しているのかを知るためにも運動能力テストの数値の変遷を拠り所にしていきます。

「今年の4歳と、来年の4歳では子どもが違うのだから、そもそも数値に信頼性がない・・・」というご指摘も聞こえたりするのですが、しかしながら「指標」にはなりえますし、毎年継続して集計し続けることで、その時代、その年の子どもたちの傾向分析にも役だっていきます。

また、先にも述べましたが、数値計測のルールさえ明確に設定してさえおけば、数値は非常に公正なものです。100メートル10秒を切るという目標に対して、9.98秒であれば誰の目からも目標達成は明らかですし、だからこその達成感、美酒に酔いしれることができるのです。

保育園・こども園でも数値指標が有効

ですから、「数値」というものをうまく活用していくことさえできれば、

・年々どう質的に向上していけているのか。

・何をすれば目標達成に近づけるのか。

・どのような取り組みが目標達成のための効果的な施策なのか。

そして、

・目標達成したのかどうか。

も把握し、「職員の成長実感」「課題への具体的な取り組み」「達成感」というものを得ることができます。

冒頭でも述べましたが「保育園・こども園は民間会社ではないのだから、数値で測れるものなど少ないし、数値は馴染まない。」

といったことも十分理解はしています。

もちろん数値がすべてではありません。

数値や目標達成というものが絶対というつもりもありません。数値はあくまで「指標」です。

保育園・こども園において数値化できるものがなかなか見当たらないので、数値化が難しいということも重々承知しています。しかし・・・幾度考えても「数値」以外で、職員の成長度や目標達成度を測れる「ものさし」はほぼ無いのも事実です。

自分達の仕事の「成果」を見える化してあげることで、仕事におけるやりがいは大きく変化していきます。

職員自身の成長実感や、チームにおける達成感、職員のチームワーク醸成にも効果を発します。

数値化については、「何かわからないけれど嫌」といったアレルギーのようなものもあるような気がしています。けれど、そこから得られるものを考えた際、導入しない手はありません。

ちょっとだけ目を瞑っていただいて、無理やりにでも前向きに数値指標導入をお考えいただければと思っています。

次回は具体的に保育園・こども園における目標設定例としての数値指標について、これまで園内研修などで実際に取り上げたテーマなどをご紹介していきたいと思います。

株式会社SKSは人材育成コンサルティングと能力開発研修で
保育施設の課題解決をサポートします。