「保育士のなり手の資質が低下している。」
「いい子がいない」
「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう。」

こんなお悩みはありませんか?

私は保育園や幼稚園、こども園向けの職員育成研修を15年間行ってきました。

お伺いした園の多くでそんな声をお聞きします。

お嘆きの気持ちはとてもよくわかります。

しかし、残念ながら、はじめから「良い人材」は存在しません。採用した職員を「育成」していくことが大切です。

「はじめから「良い人材」を採用する方法を知りたい。」

そう思った方はこの記事を読まないでください。

今回は本気で職員育成を考えている保育施設の経営者の方や園長先生、主任先生など研修や職員育成を担当されている先生向けに、

職員育成と採用の関係について解説します。

「保育士3年・5年の壁」の原因は「子どもたちの成長」を最優先にしてしまう裏で「職員の成長」がないがしろにされていること。

あなたの勤めている保育園では「子どもたちの成長」を何よりも大切にしていませんか?

実は、「子どもたちの成長」を最も大切にしていることが「保育士3年、5年の壁」を創り出している一つの要因かもしれません。

そんなことを聞いたら、驚かれる方もいるかもしれませんね。

その理由は、「子どもたちの成長」を一番大切な目標にすることによって、「保育者の成長」は二の次になってしまうからです。

とある保育園でのリーダー研修での一幕

参加者の先生方に質問をしました。

新任職員に何を求めますか?

  • 明るく、素直(何でも「はい」と言って動いてくれる。)で元気
  • 常識を持っている。(返事、挨拶、期限を守る)
  • とにかく「子どものことを第一に」考えることのできる人

仕事をしに来る以上、最低限のモノは兼ね備えて来るべきだ、ということですね。

職員指導とは一体何を指導することだと思いますか?

  • 保育の手順や進め方
  • 仕事のやり方
  • 子どもとの接し方

「現場」としては仕事をしてもらわないと困るのですから当然といえば当然です。

職員の言い分としては、

保育園は、学校ではなく仕事(保育)をするところ。

社会人としての常識や園の一員としての常識は最低限備えた上で来てもらわないと、子どもや保護者に迷惑が及んでしまう。

私たちは保育の手順や一日の流れ、進め方を指示し、早く仕事ができるようにと指導している。

一人前の給料をもらう以上、先輩の話を素直に聴いて早く仕事に慣れてほしい。

保育園は保育をするところで、私たちは保育士なのだから、「子どもたちのために」しっかりと仕事をして、保育の質を高めなければならない。

この論理は、一見正解のようですが、実は正しい認識だとは思えません。

こうなると、保育者は「子どもたちのため」に「素晴らしい保育をする」存在になってしまいます。

組織の持つ究極の目的「職員を活かす」

組織には3つの目的があります。

  • 社会に貢献
  • 働く職員を活かす
  • その固有の役割を全うする

本来は、③のために②を活用するのではなく、

③を通して②を活用するという理解の方が実は望ましいと思います。


つまり、『「保育」という仕事を教材(教科書)にして、職員の人間的成長を図る』という認識です。

こんなことを言うと、「イヤイヤ」と思ったかもしれませんね。

保育士たちは、子どもたちのことを第一に、何より子どもたちのために一生懸命保育をすることで、結果職員は成長し、子どもたちの成長がやりがいにつながるのだと思いましたか。

「子どもたちの成長」が最優先の保育園では、保育者の成長は二の次

しかし、これでは「子どもたちの成長」が最優先で、保育者の成長は「二の次」になってしまいかねません。

そして、このことが「保育士3年、5年の壁」を創り出している一つの要因である気がしています。
組織に属する職員の人間的成長を二の次にしてしまうが故に、職員は「私、このままで良いのかな」「もっと他に何か違う生き方があるんじゃないかな」という「現状への物足りなさ」に至っているのではないでしょうか。

また、「子どもたちの成長こそが保育者のやりがいだ」という構図を生み出してしまうと、残念ながら、「今の保育所に在籍する動機」が失われかねません。

それであれば「どこでも良い」から3年ほどいて慣れてくると「物足りなさを感じて」離職していく・・・。

「良い人材」は初めから存在しないからこそ「職員育成」が必要

はじめから「良い人材」は存在しません。だからこそ「職員育成」という概念が存在するのです。

「保育という仕事を教材にして、職員の成長を見つめる。」

そう考えると、

今は出来ない職員にどんな仕事の機会を与え、

いかにサポートしてあげることで子どもたちが安全に育つ環境を提供できるのか、

そのためのリーダーの寄り添い方はどうあるべきかという思考の転換ができるのではないでしょうか。

職員を活かすことをせず、職員が勝手に育つべきだという論理は、職員育成を放棄したに等しい。


このことを踏まえ、それぞれの園での職員育成を考えていってくださると、きっと園は劇的に変わります。

要するに、育成する側の「リーダー」の育成が急務です。

職員採用は、既にできあがった「いい子」の採用ではなく、自分たちの園にあった職員に育成できる「素材」を見つける採用なのです。

採用した職員を「育成」していくことが大切なのだとご理解ください。

株式会社SKSは人材育成コンサルティングと能力開発研修で
保育施設の課題解決をサポートします。